女が見る女が描く女 〈上村松園展〉 [見たもの読んだもの日記]
女の眼ってものに迫ってみます。
画室準備中のある日、半休いただけたので行ってまいりました。
上村松園展です。
ワタシが松園の展覧会を初めて観たのは、1993年@渋谷のBunkamuraでした。
20代前半だったのね・・・
上村松園(1875―1949)
京都で生まれ育ち、人物画、特に美人画を描き続けた日本画家。
初めて文化勲章を受勲した女性でもあります。
展覧会は、基本的に時代ごとに分け、表現の変遷を追った構成になっていました。
初期は、人物を中心に、その情景や小道具を描きこんだものが多くなっています。
人物の表情もはっきりしています。横顔や後姿さえも、本当に表情豊か。
「花がたみ」(1915)
この頃から、表現はシンプルに、人物の表情は、抑えられた中にもその感情が映し出されたものとなっていきます。
※記事内の画像は部分です。作品の全体画像は、公式サイトで見てくださいね!
心も着衣も何もかも乱れているはずなのに、表情は能面のよう。
精神病院に取材した際、精神のバランスを崩すと無表情になることを知り、この表情になったのだとか。
前期のみ展示の作品ですが、この構図に至る素描も展示されています。
(すみません、後期も展示されてました・・・)
これが見たくて、前期に行きました。
「焔」(1918)
「源氏物語」に登場する、六条御息所がモチーフになっています。
(実際には、謡曲「葵上」に取材したそうです)
源氏の正妻である葵上への嫉妬のあまり、生霊となって現れた姿。
その表情には、ただ「嫉妬に狂った」のひと言では表現できない複雑さがあります。
あと、ワタシの眼で見てですが、松園の作品のなかでは、腰のあたりなんかが妙に肉感的に思えます。
生霊でありながら、「女」の生々しさを感じるのはそのせいでしょうか。
初めてこれを見たとき、その凄絶さに立ちすくんだ記憶があります。
これを描いた松園は、スランプからは脱したが、しばらく帝展への出品をしなかったのだとか。
このあたりを境に、激しい感情表現は影を潜め、人物の表情は、より抑制されたものとなっていきます。
また、母と子のモチーフが加わるようにもなります。
「母子」(1934)
母親に支えられて画業を続け、自身は今でいうシングルマザーとして息子を育てた松園。
モデルになったのは、主に孫のようです。
ちなみに、松園の息子は故・上村松篁。孫は上村淳之。三代続いた日本画家一家ってのがすごい。
ただし、松篁・淳之は主に花鳥画を描いてます。母が偉大すぎたのかもしれません。
すでに時代は移り、松園の描くような人物や情景はあまりみられなくなっていました。
また、「ただきれいな女性が描かれているだけ」と受けとめられることも多かったのだとか。
それでも松園は、そのスタイルを変えることはありませんでした。
古典や伝統芸能を学び、それを自分の中で昇華させ、作品として結実させているのがよくわかります。
松園で好きな作品のひとつ。
「晩秋」(1943)
松園が、自身の母親の思い出をモチーフに描いた作品のひとつ。
華やかに装った女性の姿ではなく、日常のひとこまを描いています。
「ハレ」と「ケ」であれば「ケ」の情景といいましょうか。
障子を直す紙を、花のような形に切り込む。ささやかな心遣いに、生活の美しさがにじみます。
当時の人々の生活は、実はこんなにキレイではなかったでしょう。
また、当時は、(少なくとも現代から見れば)女性たちが抑圧された時代でもありました。
でも、松園が人物画で描き出したかったのは、眼に見えるままのリアリティではなかったのでしょう。
ドラマチックな情景や感情表現を、超えたところにあるもの。
人の奥底にある、言葉にできないような深いもの、ゆるぎないもの。
(・・・ってワタシが言葉にすると、なんて薄っぺらいんだかorz)
女性の姿を描くことで、これを表現できるのは、松園も女性であったからなんじゃないかと思います。
男性は女性を「見る」のだけど、女性は女性を見るときに、自分自身を「映す」のではないか・・・
だから、距離感も、抱く感情もまったく違う。
他の美人画と、松園の美人画が一線を画すのは、それを考えれば当然のことに思えます。
10数年ぶりに見た「焔」には、哀しみとも愛憎ともつかない、複雑な心情が見えるようでした。
ただ圧倒されるだけでなく、少し違う思いで向き合えた気がします。
ちょっとだけ、自分も大人の「女」になってるってことかなぁ・・・?
いやまぁ、こんなんですけどー(T▽T;;;)
「焔」「花がたみ」は、前期(~9/26)までの展示。
後期には、これまた代表作「序の舞」「砧」が展示されます。
「序の舞」も、再び観たい作品なんです。昔、切手になったから、知ってる人もいるかも。
あの、ぴーんと張り詰めた緊張感を、今ならどう感じるだろう。
やっぱりまた行っちゃおうかなー。
10月からは、通勤定期も買ってもらえるしね♪(とはいえ、金曜夜間を狙うんだろうけど・・・)
常設展示も、近代日本画大好きなワタシには、もう垂涎モノでした。
徳岡神泉の画集か図録、欲しくなっちゃったなー。
もちろん、近代日本の洋画や彫刻もたっぷりありますよ。
特別展のチケットを買えば、常設展も観られます。
行く方は、たっぷりお時間とっていただくのがオススメです!
上村松園展
2010年9月7日~10月17日
東京国立近代美術館
2010年11月2日~12月12日
京都国立近代美術館
10月9日追記。
10月8日金曜日、夜間開館を狙って、後期も見に行っちゃいました。
・・・あれ!?夕方6時すぎてるのに、ゾロゾロ人が向かってるよ~( ̄ロ ̄;)
obasanさんがタクシーの運転手さんから聞いたところによると、「日曜美術館」で紹介されてから、人が一気に増えたんだとか。
すいてる時に行っといてよかったぁ。
でも、大作の「序の舞」は、なかなか全体を見ることができませんでしたorz
それでも、あの張り詰めた美しさは、感じることができました。
図版よりも、朱の発色が落ち着いていることもわかったし、やはり見ておくべきでした。
「砧」もありました。
顔立ちも服装も、ちょっと大人の女性なのかな。どこか強い意思を秘めたような表情が印象的。
前期だけとカン違いしていた(すみません)「花がたみ」を、あらためてよーく見ました。
本来かわいらしい顔立ちのはずなのに、あまりにも虚ろな眼の表情。
美しさの中に隠されているものに少し触れただけでも、身震いがするような、そんな絵です。
やはり松園はすごかった。
10年後くらい(笑)に、また見たいです。
画室準備中のある日、半休いただけたので行ってまいりました。
上村松園展です。
ワタシが松園の展覧会を初めて観たのは、1993年@渋谷のBunkamuraでした。
20代前半だったのね・・・
上村松園(1875―1949)
京都で生まれ育ち、人物画、特に美人画を描き続けた日本画家。
初めて文化勲章を受勲した女性でもあります。
展覧会は、基本的に時代ごとに分け、表現の変遷を追った構成になっていました。
初期は、人物を中心に、その情景や小道具を描きこんだものが多くなっています。
人物の表情もはっきりしています。横顔や後姿さえも、本当に表情豊か。
「花がたみ」(1915)
この頃から、表現はシンプルに、人物の表情は、抑えられた中にもその感情が映し出されたものとなっていきます。
※記事内の画像は部分です。作品の全体画像は、公式サイトで見てくださいね!
心も着衣も何もかも乱れているはずなのに、表情は能面のよう。
精神病院に取材した際、精神のバランスを崩すと無表情になることを知り、この表情になったのだとか。
(すみません、後期も展示されてました・・・)
これが見たくて、前期に行きました。
「焔」(1918)
「源氏物語」に登場する、六条御息所がモチーフになっています。
(実際には、謡曲「葵上」に取材したそうです)
源氏の正妻である葵上への嫉妬のあまり、生霊となって現れた姿。
その表情には、ただ「嫉妬に狂った」のひと言では表現できない複雑さがあります。
あと、ワタシの眼で見てですが、松園の作品のなかでは、腰のあたりなんかが妙に肉感的に思えます。
生霊でありながら、「女」の生々しさを感じるのはそのせいでしょうか。
初めてこれを見たとき、その凄絶さに立ちすくんだ記憶があります。
これを描いた松園は、スランプからは脱したが、しばらく帝展への出品をしなかったのだとか。
このあたりを境に、激しい感情表現は影を潜め、人物の表情は、より抑制されたものとなっていきます。
また、母と子のモチーフが加わるようにもなります。
「母子」(1934)
母親に支えられて画業を続け、自身は今でいうシングルマザーとして息子を育てた松園。
モデルになったのは、主に孫のようです。
ちなみに、松園の息子は故・上村松篁。孫は上村淳之。三代続いた日本画家一家ってのがすごい。
ただし、松篁・淳之は主に花鳥画を描いてます。母が偉大すぎたのかもしれません。
すでに時代は移り、松園の描くような人物や情景はあまりみられなくなっていました。
また、「ただきれいな女性が描かれているだけ」と受けとめられることも多かったのだとか。
それでも松園は、そのスタイルを変えることはありませんでした。
古典や伝統芸能を学び、それを自分の中で昇華させ、作品として結実させているのがよくわかります。
松園で好きな作品のひとつ。
「晩秋」(1943)
松園が、自身の母親の思い出をモチーフに描いた作品のひとつ。
華やかに装った女性の姿ではなく、日常のひとこまを描いています。
「ハレ」と「ケ」であれば「ケ」の情景といいましょうか。
障子を直す紙を、花のような形に切り込む。ささやかな心遣いに、生活の美しさがにじみます。
当時の人々の生活は、実はこんなにキレイではなかったでしょう。
また、当時は、(少なくとも現代から見れば)女性たちが抑圧された時代でもありました。
でも、松園が人物画で描き出したかったのは、眼に見えるままのリアリティではなかったのでしょう。
ドラマチックな情景や感情表現を、超えたところにあるもの。
人の奥底にある、言葉にできないような深いもの、ゆるぎないもの。
(・・・ってワタシが言葉にすると、なんて薄っぺらいんだかorz)
女性の姿を描くことで、これを表現できるのは、松園も女性であったからなんじゃないかと思います。
男性は女性を「見る」のだけど、女性は女性を見るときに、自分自身を「映す」のではないか・・・
だから、距離感も、抱く感情もまったく違う。
他の美人画と、松園の美人画が一線を画すのは、それを考えれば当然のことに思えます。
10数年ぶりに見た「焔」には、哀しみとも愛憎ともつかない、複雑な心情が見えるようでした。
ただ圧倒されるだけでなく、少し違う思いで向き合えた気がします。
ちょっとだけ、自分も大人の「女」になってるってことかなぁ・・・?
いやまぁ、こんなんですけどー(T▽T;;;)
「焔」「花がたみ」は、前期(~9/26)までの展示。
後期には、これまた代表作「序の舞」「砧」が展示されます。
「序の舞」も、再び観たい作品なんです。昔、切手になったから、知ってる人もいるかも。
あの、ぴーんと張り詰めた緊張感を、今ならどう感じるだろう。
やっぱりまた行っちゃおうかなー。
10月からは、通勤定期も買ってもらえるしね♪(とはいえ、金曜夜間を狙うんだろうけど・・・)
常設展示も、近代日本画大好きなワタシには、もう垂涎モノでした。
徳岡神泉の画集か図録、欲しくなっちゃったなー。
もちろん、近代日本の洋画や彫刻もたっぷりありますよ。
特別展のチケットを買えば、常設展も観られます。
行く方は、たっぷりお時間とっていただくのがオススメです!
上村松園展
2010年9月7日~10月17日
東京国立近代美術館
2010年11月2日~12月12日
京都国立近代美術館
10月9日追記。
10月8日金曜日、夜間開館を狙って、後期も見に行っちゃいました。
・・・あれ!?夕方6時すぎてるのに、ゾロゾロ人が向かってるよ~( ̄ロ ̄;)
obasanさんがタクシーの運転手さんから聞いたところによると、「日曜美術館」で紹介されてから、人が一気に増えたんだとか。
すいてる時に行っといてよかったぁ。
でも、大作の「序の舞」は、なかなか全体を見ることができませんでしたorz
それでも、あの張り詰めた美しさは、感じることができました。
図版よりも、朱の発色が落ち着いていることもわかったし、やはり見ておくべきでした。
「砧」もありました。
顔立ちも服装も、ちょっと大人の女性なのかな。どこか強い意思を秘めたような表情が印象的。
前期だけとカン違いしていた(すみません)「花がたみ」を、あらためてよーく見ました。
本来かわいらしい顔立ちのはずなのに、あまりにも虚ろな眼の表情。
美しさの中に隠されているものに少し触れただけでも、身震いがするような、そんな絵です。
やはり松園はすごかった。
10年後くらい(笑)に、また見たいです。
ソネブロのメンテの影響のおかげでイチバン取れました。
ナンデnice!イチバンはやめとくです。
by miyomiyo (2010-10-01 12:14)
miyomiyoさんが譲ってくださったnice!イチバン、いただきました。
松園は私も近々行こうと思ってたとこ。
日本画はよく知らないから、勉強しようと思って。
しろのぽさんのこの解説で、より面白くみられそう。
by olive (2010-10-01 17:59)
わあ・・・見たい。
ちょうど会期中ですね、上京は。
何とか見て帰りたいなあ・・・・
朝早くホテル出て行こうかなあ・・・・
迷わずいけるやろか・・・おのぼりさんに。
by obasan (2010-10-01 19:58)
画室はもう終わってたのね・・・・
ここの所、遊んでたり仕事したりでバタバタしてたんですが
昨日からバタっと暇になっちゃって、東京に遊びに行ってもいいかなぁなんて思ったんだけど(笑)
んで、miyomiyoさんはやっぱ会いに行かなかったんだー・・・と
会って話したら楽しいのに(笑)
って事で、自分はまた東京近辺には行くと思うんで、その時はまた飲もうねー
松園さんの絵は切手の絵で知ってるくらいの知識です。
他の絵も、なんか見た事あるかも・・・くらいで(笑)
描いてたのは女性だったんだ。
いろいろ知らないからこうやって、解説を読みながら絵を見るとまた面白いね。
by 山 (2010-10-01 20:15)
おはようございます
熊五郎@宇都宮です。
上村さん(気易)は知りませんでした。
焔は怖いですね、、、
振り向きながら指を噛んでる女性は怖いです。。。。
それに対して後半は優しい感じですね。
同性の描く同性像はリアルで面白いですね。
by 北海 熊五郎 (2010-10-02 06:20)
絵画に関しては全然詳しく無い私ですが、
もしかしたら女性の方って殆ど記憶に無いのですが・・・
あの見返り風なのは恐い・・・と思っていたのですが
やっぱり霊だったんですね・・・・
般若のお面とかが似合いそうな感じがしたので・・・
(お面が似合いそうっていうのも変ですが・・・)
by oko (2010-10-02 07:49)
六条御息所からは情念のような物を感じます。
生霊になってしまった自分への悲しみもあるのでしょう。
クモの巣の張った模様の着物が印象的です。
by luces (2010-10-02 10:47)
やっぱりしろのぽちゃんの解説は面白い!
ってゆーか、わかり易いし興味が沸きます♪
着物ははだけている図の解説で、山岸涼子の漫画を思い出してしまった。
山岸涼子の漫画を読んで上村松園を思い出せばなかなか博識な感じなのに^^;なぜか逆。
でもきっと影響受けてるのかな、、
あとカミーユ・クローデルとかもふと頭を過ぎりました。
女流芸術家の場合、芸術か狂気かみたいなところがあるような気がするわ。
ギリギリを極めるために失くすものも多そうでちょっと辛い気持ちになりました。
そういえば草間弥生とかも・・・
by maki (2010-10-02 14:33)
髪の表現に艶を感じます。
やはり女性は 大和撫子がいいですね^^
by 肥前のFe (2010-10-02 17:15)
眼ぢからっつーのをししししと感じる作品ぢゃ。
どの眼も細い上に切れ長ぢゃが、眼球がどこにあるのか、見る側から一目でわかるとゆう素晴らしさです。
目ん玉に命が宿るって言われちゃうと、生霊のにゃ~途轍もない生命力を感じちゃうです。
オバファンのスケッチにも、ど根性大根顔負けの生命力を感じたです。
by miyomiyo (2010-10-03 01:07)
男性は女性を「見る」のだけど、女性は女性を見るときに、自分自身を「映す」のではないか・・・
ズシンとくる解説ですね。
きっとこれは、20歳のしろのぽさんでは絶対にいえないセリフ。
楽しい経験も苦しい経験も、すべての経験が重なって言えた言葉。
10年後、この絵を見たら、今とはさらに違った、深みを見つけることでしょう。
by hoshizou (2010-10-03 01:12)
miyomiyoさん
でもコメは入れるワケだ(笑)
アップした時間からして、おぢさんが気付かなかったら、イチバンは早朝組だと思ったのに・・・
メンテ明ける時間が、おぢさんの行動時間帯だったわーorz
oliveさん
イチバンご進呈~。ってなんかヘンですよねぇ・・・
松園の大きな展覧会は、そうそうないです。おすすめですよ♪
ワタシは平日午後に行きましたが、あまり混んでませんでした。いいのか悪いのか(^^;
日本画も、知り始めると面白いです。いえ、西洋画もわかるようになりたいですが・・・
oliveさんの眼で見た松園、どんな感想になるのか楽しみです。
obasanさん
東京や京都に住んでても、めったにないチャンスです。
せっかくタイミングが合っているのだから、行かなきゃもったいないですよー。
交通案内はこちら↓
http://www.momat.go.jp/Honkan/map.html
竹橋駅で出口さえ間違わなければ、すぐそこだから大丈夫ですよ。
お時間が許すなら、ぜひご覧になってくださいね。
山さん
えー終わっちゃったよー。
まー確かにずいぶん遊んでたみたいじゃないですか・・・ウラヤマスイ
ワタシもしばらくは巡業ないし、東京遊びにおいでよー
おのぼりさん対応いたしますよ(笑)
で、miyomiyoさん、ましゃかこっそり来るんではないかと目を光らせてたのですが、わかんなかったorz
ひと昔前の記念切手には、近代日本画の名品がよく使われてるのですよ。
「序の舞」の切手はわりと知られてますね。
松園は、日本人の女性画家では、最も成功したひとりでしょう。
なのに、文化勲章をもらった最初の女性は?って訊いても、知らない人が多いんだけどorz
絵を見て、きれいだなーで済ませてもいいんだけど、知るともっと面白くなります。
北海 熊五郎さん
いいなーもてぎ!
お天気もつといいですね。
「焔」については、男女双方の感想を聞いたら、絶対面白いと思うんですよ。
男性から見たら、やっぱり怖いかな(^^;
後半では、まるで憑き物が落ちたように、純化した作品が多くなります。
男性は男性をどう見て描くのかな。今度友人にきいてみよう(笑)
okoさん
見返り風のって「焔」ですね。
あれは、同性にしか描けない世界だと思います。
幽霊よりも、生霊ってなぜかもっと怖い気がする・・・
表情は、確かに般若の面のようですよね。。
能面のように、見る角度や見る場面によって、受け取る表情が違う・・・
そんな作品だとに思います。
lucesさん
背景となった物語を知ると、もっと面白いでしょうね。
情念を見るか、悲しみを見るか、見る人によって受け止めかたの違う、深い作品です。
全身に絡みつくようなクモの巣柄の着物も、演出効果が抜群ですね。
実在したかというと、微妙なところかも・・・(笑)
makiさん
そう書いていただけると、また観に行ったらがんばっちゃおう!と思うワタシです(笑)
レポのために色々調べるのも楽しいです。
山岸涼子かー、ワタシあまり読んでないんですけど、何か通じるところのある、情念みたいなものがありますね。
男性の芸術家でも壮絶な人は多いんだけど、女性の場合は、芸術家であることに対する(社会からの)抵抗が大きくて、孤立しがちというか・・・。
ベルト・モリゾなんかわりと平穏ですけど。
カミーユ・クローデルは、映画の印象が鮮烈です。イザベル・アジャーニが美しいことといったら!
草間彌生は、彼女自身と人生が最大の作品ってのがワタシの持論です。(笑)
そういえば、ジョゼフ・コーネルとの関係についてどこかで書いてたけど、びっくりするほど赤裸々で、でも切ない印象のものでした。
肥前のFeさん
あ、そうなんです!見落としがちだけど、髪の毛の黒の、発色のよさがすばらしいんです。
墨ってきれいな色を出すのが難しいんですよ。
生え際なども、とても繊細な表現でした。
大和撫子には、果てしなく遠いワタシですが・・・何か・・・orz
miyomiyoさん
あ、また来ましたな。
古典的な日本人女性の顔の表現なんだけど、眼の力はすごいんですよ。
でかけりゃー眼の力あるってワケぢゃないのよ、内面から発する眼の光なのよ。
と、誰にともなく言ってみたくなったりして(笑)
生霊だけど生命力のある眼やら、表情を失った眼やらを意図的に描けるという力技も、ものすごいです。
で、こっちはど根性大根と並ぶわけだ(爆)
↑ちゅーか、またシリーズ化するつもりかしら・・・
hoshizouさん
今回のレポの肝は、まさにそこです。
東京に20年住んで、ずっと美術見ていたら、どうもひとまわりしたらしく、二度目の作品もかなりあるんです。
そこで、違う感想や違う見方をしてる自分に気付きます。
特に人物画は、他人を見て自分を省みる―つまり他人って自分を映す鏡だな、と思うのと、共通するところがあります。
歳食った今だから見える、わかることもあるなぁ、とつくづく思うようになりました。
だから、20代とかに戻りたいなんて思ったことないです(かなり蛇足ですが強がりじゃアリマセン)。
ずっと美術を見続けていたら、10年後はさらに違った見方になってるでしょうね。
by しろのぽ (2010-10-03 02:08)
女三段活用みたいなタイトルがナイスです。
しかし神秘的な描写ですね。
「焔」って幽霊みたいだと思ったら
生霊だったの?
女性からみた嫉妬深い女性はこんな風に見えるのかな?
怖い!
by 響 (2010-10-03 02:17)
・・・ 大和撫子には、果てしなく遠いワタシ・・・
バイクぶっ飛ばし 芸術に繊細な感性の しろのぽさん
ステキですよ あ 料理の腕もあった^^
by 肥前のFe (2010-10-03 18:57)
響さん
タイトルを考え付いた時は、思わずニヤリ(笑)
先にタイトルありきだと、本文がタイヘンってのもよくあるパターンですがorz
「焔」を描いた時、松園は43歳。
六条御息所に、何を感じて描いていたんでしょうね。
ただ怖い女性を描こうとしてたんじゃない気がします。
肥前のFeさん
あ、フォローされちゃった(笑)
長崎のおとーちゃん、ありがとう♪
バイクと美術と両方ってのが、なんか珍しいみたいですねー
どっちかしか知らない人は、もう一方を知ってびっくりします(^^;
by しろのぽ (2010-10-04 00:58)
NHKの『日曜美術館』で見ました。
テレビでも迫力(というのも変ですが)ありました。
とにかくあれだけのきれいな線を、
いったいどうやって描くのだろう?
そんなことも感じながら、うっとり見ていました。
「焔」は9月までですか、、、
でも、「序の舞」に会えるなら、行ってみたいですね。
by e-g-g (2010-10-04 13:09)
私も見てきました!
序の舞、じつはあんなにおおきな作品だなんて知らなかったのです。
びっくりしちゃった!!!!
焔も見てみたかったです。
by リュカ (2010-10-04 19:39)
洋画は風景画が好きなんですが
日本画は美人画が好きです(^^)
額縁のない日本画は人物の目線が紙の外のどこか
私の横の何かを見てるときがあるのがイイですね。
哲学の教授は「額縁とは、ディズニーランドの壁だよ」と言ってました。
そのとき急に哲学を身近に感じたことを思い出されます。
by piyoko (2010-10-04 23:09)
e-g-gさん
あれー、ワタシ、「日曜美術館」の松園の回、まだ見てないです(^^;
戦前の日本画家は、運筆の練習を、ものすごくしたみたいです。
現代の私たちは、まず鉛筆を握ってしまうから、昔の人のようには筆を使えないんですよね・・・
「序の舞」いいですよー。
意外に大きいのにもびっくりします。
リュカさん
個展の時、松園展の話もちょこっとしましたよね。
レポ読みましたよ~。
「序の舞」、ワタシも初めて見たとき、こんなに大きいの?と驚きました。
リュカさんの「焔」の感想も聞いてみたい気がします(^^
piyokoさん
確かに、額装ではなく表装の日本画は、空間の中での存在感が違いますよね。
というか、額装自体が、特殊な空間なのかもしれません。
ええと、哲学するにはあまりにもアタマの悪いワタシなので・・・
「額縁=ディズニーランドの壁」論ってずっと考えてしまいそう(笑)
(その前に、ディズニーランド行ったことないじゃんってツッコミも満載ですorz)
by しろのぽ (2010-10-05 01:27)
えっ、ディズニーランド行ったことないんですか?!
別れの名所でもあるそーですから
初デート用に温存しちゃいけませんよ( ̄ー ̄)
哲学の教授曰く、壁や額縁は世界をクッキリと分けるアイテム。
西洋絵画では額縁の向こうは理想郷でなければならず、
身近であってはいけないのでハッキリと境界で区切る。
ネズミ国で大はしゃぎした人々が壁の外に一歩出ると、
急に頭につけた耳カチューシャが恥ずかしくなって取るのは自然な行為。
…というここで、しろのぽさん正解です(^^)
by piyoko (2010-10-05 07:28)
piyokoさん
えっ、再コメしてまでそこツッコミですかー(笑)!?
「行く金あっても入る金ないよね」と言い続けた学生時代(貧)。
10ン年経過して、行く気自体がなくなってたという・・・orz
わーい正解( ̄▽ ̄)vホント!?
なるほど、確かに額縁は、理想郷を覗く窓、ってわけですね。
で、日本絵画は、掛け軸に屏風。空間の区分けというより、空間の中にさらに空間を置く、みたいな感じでしょうか。
描き表装っていうんだっけ、表具に絵を描いちゃって、絵が外に飛び出すような効果を狙ってるものまであります。
そういえば、たまーに京葉線なんか乗ると、額縁じゃなくて掛け軸(描き表装あり)だったのかしら?と思う人も見かけますねぇ(笑)
by しろのぽ (2010-10-06 00:21)
日本の江戸時代までって、表現がものすごくシュールだった気がします。能や狂言、落語でも突拍子もない設定や表現がありますものね。六条御息所にしたって、生霊だし(憤死できない怖さ)、謡曲「葵上」も小袖が畳んであるだけだし。「焔」の小袖の柄が、熟年には本当に悲しい(笑)くもの巣だなんて。公式サイトの画像だと「怖い」というより、物悲しさのが募りました。そう、序の舞は「趣味週間」シリーズでした。月に雁とか、見返り美人とか、人気品薄ですごいプレミアのついたのがありましたよ。両手の指の緊張感がほんとに微笑ましい。
子供の頃から景色を忠実にそのまま書けとばかり言われていたのでわかりませんでしたが、日本画ってスケッチを重ねて重ねてその中のエッセンスを搾り出して表現したいテーマを再構築するものなのかなー、と思いました。いや洋画だって、義務教育の写生だけでは理解できなかっただけで、たぶん同じような過程を経るのでしょうけど。はい・・・写生、つまらなかったんです(爆)
by ぽとす (2010-10-06 01:15)
ぽとすさん
江戸時代は、日本の文化が成熟、というか爛熟といってもいいほどピークに達した時期かなと思います。特に絵画。
そろそろ古典文学もお勉強しようかな。いろんなもののベースにもなってるし・・・
「焔」は、男女別年代別に感想が大きく違ってるのが面白いです。
あー切手趣味週間だ!名画揃いなんですよね。
切手収集が、今よりずっと一般的な趣味だった(笑)ころ、「月に雁」なんて数万円でしたっけ・・・
ぽとすさん、鋭いです。
学生時代に先生たちが何度も口にした、「ものの本質」へ迫っていこうとするのが、日本画の一面でもあると思います。
結果、表現はシンプルに、場合によっては抽象の一歩手前、みたいな境地に進んでいく作家が少なくありません。
洋画も近代までは、アトリエでの再構築だったはずなんですが、どこか考え方が違う気がします。どこなんだろうか(爆)
写生は、そこにお手本があるから、ゼッタイ比較しちゃいますもんね。
絵よりも実物の方がいいのは当たり前で、「なんか自分のダメじゃん・・・」みたいになってしまって、そこでくじけちゃう人が多い気がします。
どれだけ描こうと、そこは変わらないんですけどね(^^;;;
ワタシですか?ええー毎回「こんなの違ーうorz」って思ってますとも・・・(訊いてないってか)
by しろのぽ (2010-10-08 00:05)
こんにちは。
ネズミーランド…久々にハロウィンやってる間に?連れて行けと脅されてますが(ヲイ
< たまーに京葉線なんか乗ると
その昔?、知り合いに頼まれて、ネズミーランドの某所で売ってたちょいと大きめなブツを買って、ネズミーランドの包装紙に包んで、夕方の通勤ラッシュの時に京葉線で、サラリーマンに疎ましがられながら?帰って来ました(笑)
by HIRO (2010-10-09 21:31)
うー。観る年齢によっても感じ方が違うのかも。
髪の艶やかさがいいな。
巡業落ち着いて良かったですねー。
今度、北海道から九州まで回るかもしれません・・・。
by key-k (2010-10-10 01:10)
HIROさん
ははは、HIROさんは興味ないんですか?ネズミーランド。
脅されたら、ワタシだったら全力で逃げます(爆)
京葉線で見てるサラリーマンの気持ちが、わかる気がしますねぇ。
思いっきり無彩色の日常に、とびこんでくる極彩色の非日常・・・
ちょっと今は、よそでやっててくんないかなー、みたいな(笑)
Key-kさん
そりゃもう、20代前半と今とじゃ、受け手の状況が全然違ってましたもんねぇ(^^;
あらためて見ると、髪の黒は、すごく丁寧に墨が使ってあって、髪でさえも語りだしそうな表情です。
えー、今度はKeyさんが出張族!?
巡業シリーズ、楽しみにしてます~。ッテソコ
by しろのぽ (2010-10-10 02:04)
描かれている表情のその奥にあるもの、目線のその先にあるものを想像したくなる作品ですね。
華美ではないのにあふれる色彩、髪の毛や髪飾りにいたるまでの緻密で繊細な筆にも目を奪われます。間近で見たら、何時間でも見ていられそう。
絵のことはまったくわからないけど、しろのぽさんの解説を読むのは楽しいです^^
by SAMEDI (2010-10-10 12:47)
SAMEDIさん
日本画は特に、余白の空間が生きてますからね。
視線の先にあるものを、想像する余地が大きい気がします。
そうそう、着物の色や柄の合わせ、小物の使い方も考え抜かれてると思います。
行った見たよかった、ってレポでもいい気がするんですが(^^;
日本画も面白いかも、くらいに楽しんでいただけてたらうれしいです。
by しろのぽ (2010-10-13 01:05)
絵はおなじはずなのに、自分が変われば見えるものが違ってくるのですよねぇ。
by mei (2010-10-13 10:46)
あの日・・特別展も一部見て帰りました。上村松篁の星五位もみることができました。新幹線の中で、演奏家と図録を眺めつつ、帰りました。
作風がフランスの(・・・・だれだっけ?聞いたのだけれど忘れちゃった・・・)と似ているといい、それも見るべきだよ・・と勧められました。
同じ図柄で着物の色が違っていても、また表情の出方が違うのが面白かったですね。
ほんとに行ってよかった。
by obasan (2010-10-13 10:50)
meiさん
ホントにそうですね。
10代から美術を見続けているけど、自分が変わって見え方が変わって、自分が変わったことに気付く・・・という繰り返しみたいです(^^
obasanさん
常設展示室も見られたんですね。
地方なら特別展クラスの作品がゴロゴロしてる宝の山なのに、すいてるという・・・ゼイタクですよね。
ピアニストで美術もお好きなんてカッコいい♪
一緒に図録を眺めるなんて楽しかったでしょうね。
松園は注文の絵もかなりこなしてたみたいで、同じ下絵から描いたような絵が結構ありましたね。
それでも微妙に違う表情の出方に、その時の心もちが現れていたのかもしれません。
見てよかった・・・と思える作品に出会うって、幸せですね(^^
by しろのぽ (2010-10-13 22:25)
こうして見ると、洋画はわかりやすいですね
日本画(人物画)は、奥が深くて・・・・(^^;
by T2 (2010-10-20 19:34)
T2さん
あれー、難しく書いちゃったかな・・・
洋画も、近代以前は特に、宗教的な背景とか図像学がわかんないと、理解しきれない面があります。
そこを考えると、日本人に人気のある印象派って、楽に見やすいのかもしれないですね(^_^;)
by しろのぽ (2010-10-25 08:01)