SSブログ

ゴッホのつくりかた 〈ゴッホ展〉 [見たもの読んだもの日記]

夜の六本木です。

なんとかパレスって感じです。.jpg

何度行っても、ワタシにゃ~場違い感満載な街です(笑)


といっても、ここは国立新美術館なんですケロ。
(六本木で用があるのは、あとはサントリー美術館くらいです・・・)


今やっているのはこれ。

観察眼は要りませんので(笑)!.jpg

ゴッホ展 こうして私はゴッホになった

そういえば、洋画のレポは久しぶりです。
ひそかにオルセー展なんかも行ってましたが、レポしそこねたのはナイショですorz
行ったのは金曜の夕方。
夜間開館の時間帯としては人が多めでしたが、作品に向き合うくらいの余裕はありました。
それにしても、スーツ姿の男性が妙に多かったなー(?_?)


リュカさんのレポを見て、ゴッホだけでなく、周辺の作家の作品がかなり多い、というのは知ってました。
会場をざっと眺めると、年代順に、影響を受けた作家や同時代の作家を一緒に並べた構成となっています。

ゴッホは、いわゆるアカデミックな教育を受けていません。
何人かの画家に師事したり、国立アカデミーの授業を受けたりはしていますが、技法書や模写で独学した部分が相当大きいようです。


最初期の油彩画。
「麦藁帽子のある静物」(1881)

どこかの油絵科入れる?みたいな(笑).jpg

基本形態、質感の違いなどが意識されたモチーフは、モーヴが組んだもの。
確かに、学校の課題作品みたいです(笑)

展示作品の中には、デッサン、特に人物のものが数多くありました。
実際にモデルを使ったものもありますが、模写がかなり多いです。



で、あの・・・ぶっちゃけていいですか?

人物、ヘタすぎ[爆弾]

この「じゃがいもを食べる人々」(1885)なんか・・・

赤ペン入れたくなります。.jpg

友人ファン・ラッパルトに酷評されたのが、よくわかります(笑)

最初期の油彩にしても、このままだったら、ゴッホの名が知られることはなかったんじゃないかなぁ。


1886年にパリに移住、1888年にアルルへ、1889年にサン=レミへと、制作の拠点をめまぐるしく変えていきます。
その中で、印象派など同時代の新しい様式に触れたり、ドラクロワなどの古典から学んだりしながら、その作品を大きく変貌させていきます。
日本の浮世絵から大きな影響を受けているのも有名です。
ただ、何から影響を受けようが、どうしてもゴッホはゴッホなのよねぇ、と思えてしまうのですが。


今回の目玉、「アイリス」(1890)「アルルの寝室」(1888)

褪色する絵具なんか使うんだもんナー。.jpg この歪みは計算ずく・・・ぢゃないナ(爆).jpg

海外のこれだけ著名な作家で、このクラスの代表作が2点来たら、上出来ですよね(^^;

会場では、アルルの寝室を、実物大で再現する試みもありました。
絵のとおりに狭いのね、という感想です(笑)


今回、面白いなと思った作品がこれ。

蔦の絡まる幹(1989)

これだけ見てもゴッホとは思わんよナー。.jpg

あんまりゴッホらしいとはいえない作品ですね(笑)ほとんど素通りって人も多かったな・・・
見る距離によって、印象が変わるのが面白い。
近くから見ると、盛り上がった絵具のマチエールが目立って、抽象画みたいです。
それが、遠くから見ると、蔦の絡まった木々の景色が浮かび上がってきます。


ゴッホが、その短い生涯を自ら閉じるのが、1890年。
画家になると決意してから10年、パリ移住からはたった4年。
その間に、ひとりの画家がこれだけの変貌をとげるものかと驚くほど作風が変化、そして深化していきます。
そして、誰もが知る、珠玉の作品たちが遺されました。

確かに、ゴッホはたくさんの作品やデッサンを描いています。
同時代のものにも、古典からも、海外のものからも、大きく影響を受けています。
でも、あそこにたどり着くには、それだけじゃ足りない。

そもそも、ファン・ゴッホという類まれなる個性がそこにあった。
それを形にすることに成功した結果が、あの作品たちなんだろうと思います。


ゴッホはゴッホだからゴッホになった。


という奇跡。
いまだに、その成果は、唯一無二の輝きを保っています。

・・・絵具は褪色してるけど(笑)たった120年で褪色するよな絵具を使っちゃってるんだよねぇ(^^;



ゴッホの世界にどっぷり、というよりは、ちょっとお勉強的かも(笑)な展覧会ですが、他の作家の作品もなかなか楽しめます。
あのゴーギャンもちゃんと登場してますよ。
個人的には、平井堅のテーマ曲はちと蛇足のような気も(爆)


ゴッホ展 こうして私はゴッホになった

2010年10月1日~12月20日

国立新美術館


来年には、なんと九州にも巡回します。
見たいものはみんな東京にある・・・と、中高生時代はがゆい思いをしてたワタシとしては、地方にももっとこういう機会が増えてほしいな。
nice!(26)  コメント(19)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

nice! 26

コメント 19

北海 熊五郎

おはようございます
 これからプチ朝GOに向かうところであります。
 ゴッホといえば、学校の美術の時間に簡単な紹介が有ったのと、
 黒澤映画の夢が頭に浮かびます。。。
 
 初期の人物画は本当に○○ですね。。。 
 
 絵はやはり本物を生で見るのが醍醐味なのですよね。
 珠に絵を見に行くと、そう感じます。

by 北海 熊五郎 (2010-11-06 03:58) 

piyoko

ゴッホも、そしてルソーも独創的写実(笑)ですね
基本をたたき込まれていないからこそ生まれる画風が
私たちの目や心を引きつけるんですよね~
実際の写真とは違うピントで写った心象風景のようです
by piyoko (2010-11-06 11:41) 

luces

日本人はゴッホ好きですね、なぜでしょう。
いや、僕もすきですが。
六本木、行きませんねー。
東京タワーをおつまみにお酒を飲むイメージです。

by luces (2010-11-06 13:37) 

リュカ

そうなんですよね。
地方の美術館にもこうやって巡回してくれるように
もっともっとなったらいいのにな~~~って思います^^
ちなみに私も六本木には、こことサントリー美術館くらいしか用事がありません(笑)
しかも新美術館は、乃木坂からしか行き方が分からない^^;
by リュカ (2010-11-06 13:41) 

ぽとす

むふー。日本で大人気のゴッホだけど、私は平衡感覚が壊れているので、微妙な歪みにめまいが誘われてしまうです、つらい(爆)ゴッホて、確か精神的に壊れていってしまったんですよね?きっと本当に世界がゆがんで見えてたんじゃないかなと(ぐにゃぐにゃしてたり、ぎらぎらしてたり)。「いやそれはデッサンの・・・」とかだったら、うへへですけども。表現として意図的に歪ませているシュールレアリズム系作品は平気なんだけどなあ。
by ぽとす (2010-11-06 14:06) 

oko

夜の六本木・・・っていう活字体だけで大人な雰囲気が
バシバシ漂いますね〜
私には似合わない場所です・・・笑
ゴッホって言ったらヒマワリと最初の顔くらいしか
解りませんです〜
さっぱりした・・っていうより、コテコテしたって言う
感じが似合う作品ばかりですね・・・
by oko (2010-11-06 15:10) 

maki

ゴッホの絵の、妙にうねった感じ、、これって下手だからなの◎_◎;
独特のタッチなのかと思ってたわ、、。

この寝室の絵は有名ですが、やはり床が安定していないとゆーか、、
ちょっとよろけそうな感じがね・・で、今回しろのぽちゃんの↑でマジマジと見たら、ベッドがドアに掛かってるのね。
これじゃ押し戸なら完全に開かないし、引き戸なら全開したときにベッドがはみ出るわ。。
と細かいとこにイチャモンつけてみましたが(天下のゴッホにーーー)やはり独特の味がゴッホがゴッホである所以なのでしょう。

地方には地方にしかない魅力があるでねーか^^
私はそーゆーのをほっくり反してーだよ。
by maki (2010-11-06 17:36) 

miyomiyo

シャガールに並んで、ゴッホにゃ~、えらく肩入れしてるおぢさんがやって来たゾォォォォ~。
まずは最初に人物像ですケロ、確かに写実っつー角度で見りゃ~ヘッタピに見えるかも知れんです。
ケロ、この後に大爆咲きする作品に通じる、独特の時空が歪んだよーなラインの片鱗が見えるです。
そんで絶頂期(?)の作品ぢゃ~静物が今にも踊りだそーとして見えるのがスゴイです。

ほー、九州巡回ですか。
タヒチみたいなパラダイスを見つけてスケッチに没頭しておくんなましー。

by miyomiyo (2010-11-06 17:56) 

HIRO

こんにちは。
模倣でも何でも、作家の中で色々咀嚼して、更に昇華してこその作品でしょうか?
生で見る事で判る事がありますね。
by HIRO (2010-11-06 20:50) 

SAMEDI

夜の六本木って、夜とは思えないほど明るいんですねぇ(爆)
夜な夜な遊び歩いた時代もありましたが、今じゃ用がない限り寄り付かんエリアです^_^;
ゴッホっていうと、青と黄色のイメージです。
どちらの色味もすごく好みなんですよー。って褪色してるの?
by SAMEDI (2010-11-07 11:39) 

T2

“ゴッホ” 人生で初めて覚えた著名な画家です
  (ちょっとオオゲサ?)
来年、元旦から福岡でも開催
それは、見に行くことにしてます(^o^)

by T2 (2010-11-08 00:12) 

key-k

こんばんは。
「ひまわり」を新宿で見た時、ずいぶん剥がれてるな~と思ってたけど、
褪色してるの???

結局、シャガール展には行けずじまい。。。
行けるかな?
by key-k (2010-11-08 01:36) 

しろのぽ

北海 熊五郎さん

それ、朝?超早朝、ていうかワタシ的に深夜・・・(爆)

あ、黒澤映画の「夢」のモチーフってゴッホでしたっけ?
学校の美術の時間で、見るほうの知識ってほとんど得なかったような・・・
小学校1年でミロを模写してみたりする、変わったコドモでした。

初期の人物、ねー・・・
ゴッホが生きてたら、それ出さなくていいから!って絵も結構あった気がします(笑)

どんなに情報化が進んでも、実体験から得るものの大きさは全く違いますね。


piyokoさん

ワタシも、ルソーと較べたくなりました(^^;
ルソーは、自分はこれでいいんだって人で、ゴッホは、自分はもっと上手くなりたいの!って人だったという気がします。
あんまり根拠ないですけど・・・
何でも、基礎力がないと結果が出ないことの方が多いと思うんですが、たまにそれを越えちゃう天才ってのがいるんですよね。


lucesさん

というか、印象派が好きですよね、なぜでしょう。
ワタシは、つい数年前まで、印象派なんて・・・と思ってましたが(笑)
印象派というか近代以降の西洋画って、図像学とか宗教的背景とか、あまり気にしなくても見られるんですよね。
そのあたりの気楽さもいいのかもしれません。
ワタクシ、六本木から東京タワーがばっちり見えることに、こないだ気付きましたけど何か・・・orz


リュカさん

地方にいて美術好き(だけじゃないだろうけど)だと、その思いはありますよね。
そのためには、地方の人も、もっともっと見たがらないといけないかもしれませんが。
六本木には森美術館もあるはずなんだけど、行くのはこのふたつなんですよねー(^^;
そう、乃木坂~。実は六本木よりも近くてびっくり。ただし、ウチに帰るには遠回りなのです。


ぽとすさん

最近は体調いかがですか?
絵画って見てるだけのはずなのに、どうにも五感に訴えちゃうこともありますよね・・・
ゴッホは、最初から人生破綻してたかのような人のようですね(笑)
でも絵に対しては真剣で、デッサンなんか本気で上手くなりたくてやってるのがわかります。
なのに、形態の把握なんかは最後まで苦手みたいですね。
で、あの歪みがドコから来てるのかっていうと・・・天然じゃないかなってのが、ワタシ的結論です(笑)
対して、シュールレアリズムはたぶん計算ずくで、その辺が大きな違いかな、という気がします。


okoさん

では六本木ってどんなとこ?何があるの?って訊かれたら、わかんないワタシですが(笑)
似合うも似合わないもそれ以前っていうか・・・orz
ヒマワリって今どこにあるんだろう?ってちゃんと日本にありますね。
どーせなら借りてきてくれたっていいのにな(笑)
はい、ゴッホの油彩、暑苦しいとワタシも思ってましたー(爆)


makiさん

あのうねった感じの絵と、そうでない絵が同時期に描かれてるのを見ると、作品によって使い分けてるのかな?とも思います。
ていうか、作品ごとに表現方法を変える勢いだったのかも・・・

コメントを読んで、え?と思ってよーく絵を見てみました。
ホントだ、なんでこれに気付かないんだー(爆)!?
なっちゃいない絵(笑)なんだけど、歪んでてもそれが作品になっちゃうのがゴッホのすごさかも。

出張で地方をめぐってると、それぞれの魅力ってすごくあって、住めるかも・・・とかも思うんです。
でも、美術が見たい、と思ってるうちは無理なんですよね(^^;


miyomiyoさん

今回はおぢさんの出遅れるタイミングだったでしょーか。

シャガールにゴッホ、濃ゆいの好きですナー。
ゴッホって、本人としては写実的に上手くなりたかったのではないかな?と思うような展示物もかなりありました。
普通、というか当時としてはゼッタイ、歪んでる絵なんて!と思われてたでしょうナ。
その歪みも作品として着地してるという、それはそれでマネできない境地です。
静物は、踊りだすというより転げ落ちるみたいですケロ。

残念ながら?九州の会場は、大宰府の国立博物館でございます。
タヒチどころか海が遠いぜよ(笑)


HIROさん

ほとんどは、そうやって自分のスタイルができていくんじゃないかと思います。
いや、ゴッホもそうしてたはずでしょう。
ただ、出しちゃう結果が個性的すぎなんですけどね(^^;


SAMEDIさん

こうこうと灯りがついてるでしょ(笑)
ここまでの道のりは、結構路地が暗かったりしますが・・・
ていうか、夜な夜な六本木遊び歩いてたの?(?_?)す、すごー
ワタシもずっと、ゴッホ=黄と青、みたいに思ってました。
ところが、アイリスの青なんか、描かれた当時は紫だったんですって!
黄と青なら「補色に近い」ですが、紫と黄はほぼ完全に補色。確実に確信犯です。タブン
でも、褪色のことは考えてなかったのかも。かなり印象が違ってたと思われます。


T2さん

んー、ワタシは誰だったかな・・・忘れました(笑)
九州の会場は、大宰府の国博ですね。
あそこができてから、大規模な展覧会が、九州巡回しやすくなった気がします。
ていうか、元旦からってがんばりますなー。
初詣の人が、そのままやってきてて、着物姿の人がいたりするのかしら?見て見たいかも(笑)

by しろのぽ (2010-11-08 01:45) 

しろのぽ

key-kさん

あれ、行き違った・・・
作品の保存性って重要なんですよね。
遺したい作品なら、褪色しないこと、絵具をちゃんと定着させることなどは必須なんです。
ゴッホはその辺、あまり考えてなかった、というよりわかってなかったのかも・・・

シャガールはノーマークでした(^^;
円山応挙が見られるか、かなり心配な今日この頃です・・・

by しろのぽ (2010-11-08 01:52) 

はにぃ

ゴッホゴッホエッホッホ。

(ゴッホの羅列に頭おかしくなったwww)
by はにぃ (2010-11-08 09:41) 

HIDE

うすら覚えですが、バブル全盛期の平成初期に、
Y田生命が「ゴッホのひまわり」を何十億で手に入れたとか入れなかった
とかのニュースがありましたよね。
全然違っていたら許してくだされ・・・
by HIDE (2010-11-08 21:41) 

しろのぽ

はにぃさん

はい、われながら書いててうざかったのはナイショです(笑)


HIDEさん

ワタシもあれ、どーなったんだ?と思ってたら、まだちゃんと国内にあるみたいですよ。
せっかくだから借りてきてくれたらよかったのになぁ。
それにしても、同じく絵を買うんでも、大家のを一枚買うよりもっといい使い方がある気がするんですけどねー。
by しろのぽ (2010-11-09 00:53) 

mei

先日、アルルの寝室はみました。
何展だったかなぁ(^^;;。
私もさらーっと見てしまいますが、しろのぽさんみたいにみられたらもっともっといろいろ感じることが出来るのですね!
by mei (2010-11-11 12:32) 

しろのぽ

meiさん

ゴッホの作品自体は、意外に見る機会はありますね。
「ゴッホ展」と銘打ってはいないですが・・・
ワタシの見方は、どうしても描いている人の見方になっちゃいます。
デッサンが・・・とか、構図はどうだとか、この色いただけないかなー、とか。
無心に見られる人が、ある意味うらやましくもあります(^^;
by しろのぽ (2010-11-15 21:01) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。