SSブログ

北へ。地続きの世界で。 [大地震、それからの日々]

あのとき、折れなかった。

津波のときどうなったのかな.jpg


唐桑半島のシンボル的な景観である、折石。
明治三陸大津波(1896年)の際、先端部分の約2メートルが折れ、その名が付いたとされています。
でも、東日本大震災での津波では、その姿を変えることはありませんでした。
「陸前高田の一本松ばかり注目されてるが、折石だって津波に耐えて残ったんだよなあ」とは、地元の方の言葉。


その折石のすぐ近くにある、海岸亭。
現在はボランティア団体も去り、レストランとしての営業を再開しています。

RQが去って平和ではある・・・かな.jpg

活動を終えて帰っていくボランティアたちに、「行ってらっしゃい。いつでも帰っておいで」
そして、再訪したボランティアには「おかえり」と声をかけてくれるマスター。

「そんなマスターがいるから、私達は安心して唐桑に戻ってこられる」
という仲間たちのセリフに、マスター涙目(笑)
「俺も、ずっとここでみんなにおかえりって言っていたいんだよ」
でも、観光客も宴会客も激減した海岸亭の経営は、厳しいのだとか・・・


2005年の東北ツーで、満室で泊まれなかったリアス唐桑ユースホステル(YH)が、今回の宿でした。

この日は天候がフルセット.jpg

こんな理由で泊まることになるとは思わなかったな。
ちなみに、その時代わりに泊まったのが、あの陸前高田YH。よく一本松と一緒に写っている建物です。

海から離れていて、津波の被害に遭わなかった唐桑YHも、避難所になったり、ボランティアの拠点になったりしていました。
今でも、各地からのボランティアが訪れます。
ピアニカをメインにした演奏などの支援活動をしているグループが泊まっていて、夜にささやかな演奏会。

囲炉裏にあたってみたいな.jpg

塩害にあった田んぼを再生するプロジェクトの話が、興味深かったです。


唐桑半島は、気仙沼市のなかでも、高齢化の著しい地域です。
このままでは、過疎化が止められない・・・危惧する地元の方の声を、方々で聞きました。
「カキ養殖のおかみさん一代記で朝ドラやって街おこし」なんて話まで飛び出すほど(笑)いや、結構本気で。

3月11日、気仙沼市の追悼式典で、中学生(だったと思う)が読み上げた作文の一節が忘れられません。
「私達は、この故郷が大好きです。でも、ここで暮らしていくことはできない」
地元に進学先も仕事もなければ、特に若者は離れていくしかないし、戻ってくることもできない。
被災地に限らず、全国各地にある状況なのだけれど・・・。
まして被災地では、津波で流された街をどう再建するかも決まらず、それどころか建物や被災財の片付けのめどさえ立っていない。
ぐずぐずしている間にも、そこで一日一日を生きている人たちがいるのに。

前回紹介した復興マルシェのように、商売を再会した人たちもいるけれど、そこでお金を使う人がいなければ、たちまち苦しい状況に陥ってしまうのです。
仲間たちの支援活動の打ち合わせに同行したり、地元のお店を訪ねて買い物したりしながら、復興への道の険しさに気が遠くなる思いでした。


私は自分で何かの活動をしているわけではなく、ただ行きたいときに仲間にくっついて行ってるだけなんだけど・・・
「こうして、忘れないで来てくれることがうれしい」というマスターや唐桑YHのペアレントさんの言葉に甘えて(笑)、また行きたいと思ってます。


で、行くとさんざん食べちゃうわけです。(そして飲まされる・・・)

YHでいただいた、ワカサギの天ぷら。新鮮かつ揚げたて!

どこ産か忘れちゃった・・・.jpg

福岡出身で、海の魚ばかり食べて育ったワタシ。ワカサギっておいしいんだな、と初めて思いました。


これは珍品。サメの心臓の刺身です。

食べられない人の分までいただきました.jpg

筋肉質のレバー、というか、砂肝の刺身みたいな感じ。
震災前、気仙沼はフカヒレの産地としても知られていました。
漁が再開しているのか、サメの尻尾を干している光景を何度か見かけました。


そして、hoshizouさん(この際名指しです)をはじめとする、東北在住のライダーの皆様に贈る、海岸亭メニュー!

季節限定、カキラーメン。

写真にすると真っ黒くなっちゃう・・・.jpg

カキはぷりっとしていて、スープに味が逃げ出してません。


遠方からのリピーターがいるという、海岸亭のカキフライ定食!

ホントはビールがほしかったです(笑).jpg

なぜカキフライが丸いのか?そしてこれは、箸で切ったりせず、かぶりついて食すのが絶対正解です。
その理由は食べたらわかります。1000円は絶対安いです。カキがあるときしか食せません。
今のうちです!

出てくると思わず「肉だ!」と言いたくなる(笑)トンカツ定食、びっくりする大きさの有頭エビフライ定食もおすすめです。


打ち合わせで訪れた、「さかなの駅」で買ったメカ(メカジキ)カレー(小)350円。
さかなの駅→ http://sakananoeki.com/

あったかいのがうれしいね.jpg

その場であったかいのを作ってくれました。
海鮮丼やマグロ丼も安く買えて、場内で食べられるスペースもあります。
ツーリング先では、よくそんな市場に寄っていたなあ。


帰ってみたら、唐桑の漁師さんからの贈り物が届いていました。
一口参加している、三陸唐桑再生プロジェクトからです。
実は3月11日に届くように発送されていたのですが、受け取ることができなかったため、1週間後に再送されてきたもの。

ワカメです。生です!1kgあります!!消費期限がほんの数日。助けてー!!!

謎の物体感満載です・・・.jpg

ぽとすさんとpittsさんに押し付けおすそ分けして、消費できる量になりました(笑)
夏に、外湾の漁港で、ワカメ養殖に使う土俵(錘)作りの手伝いに行ったなあ。
(記事はこちら→7月8月
成長が早いとはいえ、1年でここまでこぎつけた漁師さんの努力を思います。

三陸特選市場(このワカメが買えます。季節限定です)
http://www.sanrikutokusen.jp/


被災地・被災者という言葉でくくってしまうと、どこか遠い世界のことのように感じてしまいがちだけど。
同じ時間を、地続きの社会で、それぞれに暮らしている人たちのことを、忘れずにいたい。

そして、また会いに行こう。

nice!(16)  コメント(16)  トラックバック(0) 

nice! 16

コメント 16

HIRO

こんにちは。
1年が過ぎても、再生への道は厳しいんですね。
災害のボランティアとはいえ、繫がった縁は大事にして行きたいです。
by HIRO (2012-03-20 10:46) 

響

折れなかった折石はネーミングのギャップも手伝って
今後は注目浴びそうです。
塩害も大変だよね。
塩害の土地でトマトを栽培してブランド化した土地もあるけど
範囲が広いのでまだまだ支援が必要だね。
サメの肝にはビックリ!
初めて見た。

by (2012-03-20 13:13) 

肥前のFe

自活 生活できて本当の復活ですよね
  若者が ここで正業を得ることが難しい これではね~
  「お帰り」の言葉をいただけるぐらい親しんでる いいね~
by 肥前のFe (2012-03-21 07:53) 

ちゃつ

うちにも来たよー(Т▽Т)
11日着予定だったようなんだけど
わたしんちは12日に(Т▽Т)勿論嬉しいのだけど
返って何だか送料とか色々大変だっただろうなぁ、、、
と思うと申し訳ない気がしながらウハウハ言いながら母と
半分にして食べますた(;∀;)消費量はんぱねぇ我が家…
でも暫くワカメはイイかな(Т▽Т)ww
by ちゃつ (2012-03-21 20:20) 

ぽとす

唐桑わかめ、たくさんおすそ分けしてもらいありがとうございました。もうね、うまうまで!!何をしようかなー、ってワクワクしていたのですが、引越し手伝いや練習があったりで落ち着いて台所に立てず、結局連日の「わかめラーメン」(爆)これがおいしいったら(^^)。一回つくったら病み付きで、毎日ウマウマしています。唐桑のみなさま、おごちそうさまでした。何をどうすればいいのか、自分の小ささに気が遠くなりそう。せめてもと、買い物するときは被害のあった県にある生産者さんやお店から購入するように心がけています。
by ぽとす (2012-03-22 18:54) 

リュカ

サメの心臓、これは本当に貴重ですね。
初めて見ましたよ!!
ワカメ1kgにもビックリ(笑)
サイト見に行きました。うちも1kgは消費できる自信がないから
会社に送ってみんなで分けようか考え中です。
by リュカ (2012-03-22 19:49) 

しろのぽ

HIROさん

まだまだ壊れた建築物も残っているし、被災財の山がそこここに積まれている中で、皆さん生活されているんですよね・・・
災害が縁とはいえ、新しいつながりを大切にしながら、現地でがんばっている人がたくさんいます。
これからも参加していきたいです。


響さん

唐桑のシンボル、気仙沼市でも有数の観光スポットなんですよ。
ただ市内からのアクセスが・・・もっと注目されてもいいのになあ。
海水を被った田んぼや畑が、荒れたまま放置されている景色には胸が痛みます。
仲間たちで海岸亭に畳をプレゼントしたけど、産地(石巻)が被災したためにイグサは熊本産だったそうです。
何を入手するにしてもそんな感じ。
サメの肝、海産物の豊富な九州でも見たことないですよねぇ。


肥前のFeさん

被災された方々が、それぞれの生活ができるようになるまでどれほどかかるのか・・・
若者たちが、「志を果たして帰」れるふるさとになってほしいです。
地元の方々は、他所から来た人を温かく迎えてくださいます。
土地の美しさと人の温かさに惚れ込んで、移住する人もいるみたいですよ。


ちゃつさん

あ、会員になってくれてたんですね~感謝♪
そうそう、なんでもそうだけど関門海峡を渡るときに一日加算されるという・・・
別に船に乗せるわけでもないのにねー(笑)
ウチなど2度も出していただいちゃって、ていうか唐桑にいたんだからもらって帰ればよかったんでは?みたいな。
えーとお母様と500gずつ?
確かに半年分くらいまとめて食べてるってとこでしょーか(T▽T;)


ぽとすさん

いえいえ、お言葉に甘えて着払い、引き受けていただけて助かりました~。
さっと湯通しして食べてみて、しっかりした歯ごたえと味わいにびっくりでした。
ラーメンにたっぷり、おいしそう!
豚肉とシンプルに豆乳鍋にしたのもいけましたよ。
ワカメ養殖をしている外湾の漁師さんたちを思い出しつついただきました。
もともと、東北は関東向けの食料品をたくさん作っていましたよね。
お米、野菜、魚・・・おいしいものたくさんだから、食べて支えていきたいです。


リュカさん

サメの心臓に反応しましたね(笑)
少し生臭いのですが、リュカさんならいけるかも!?
鮮度がよくないと食べられないので、現地でしか入手できないみたいです。
三陸唐桑再生プロジェクトは、残念ながら2月で募集を終了しています。
でも、牡蠣のほうの一口オーナーになってましたよね?
唐桑など早いところでは、今年の秋にも出荷できそうだとか。楽しみですね♪

by しろのぽ (2012-03-22 23:12) 

hoshizou

海岸亭は、満員で食べられなかったけど、実際朝GOメンバーで行った
場所なので、何気ない一枚の写真でも、とっても親近感がわきます。
わかめをそれだけ食べたら、髪の毛によさそう。
海岸亭にいきたいな~。純粋にカキフライ食べに。



by hoshizou (2012-03-23 21:58) 

tansta

気仙沼も、ボランティアも減り観光客も増えずで、仮設飲食店は苦戦しているようです
先々週の気仙沼出張の際は、仮設でお昼を食べましたが、
昨日はまた別のところで食べました
海岸亭は、近々行ってみたいと思います
by tansta (2012-03-24 15:40) 

しろのぽ

hoshizouさん

あ、そ、そうでした。すみません(なぜか謝る)・・・。
海岸亭のメニューは、ツーリングライダー好みだと思いますよ。
ライダーを狙って集客してみる?なんて言ってたほど。
カキフライは、揚げ物苦手なワタシが絶賛するほどのおいしさ。
よろしかったらまた行ってみてくださいませ。
・・・hoshizouさんに髪の毛の悩みってあるのかしら(爆)


tanstaさん

震災直後に比べ、ボランティアに対するニーズがわかりにくくなっているのも一因かな・・・と思います。
沿岸部の光景は心痛むものですが、その場に立ってみることで、わかることがたくさんあると思います。
また行って、仮設の飲食店で食事したいなー。
唐桑は遠いでしょうけど、よろしかったら海岸亭へぜひ!
by しろのぽ (2012-03-25 02:38) 

e-g-g

ひとつ前とこの記事を読んで、
さて何をどう書けば良いのか、
つらつらと考えているうちに時が経ってしまいました。

その瞬間は建物の揺れに驚いたくらいで済んだものの、
仕事にも暮らしにも、じわじわと押し寄せてきた様々な波。
一年もすれば、なんとか明るい方へ向かうだろう、
なんていう楽観的見方が見事に打ち砕かれて、
「こと」の全体を十としたら、
いまはやっと1.5くらいの状況でしょう、きっと。
いや、あの日一挙にマイナスに落ちたわけですから、
なんとかスタート地点の0を目指しているところかもしれません。

ようするに長いパニックの真っ只中に私たちはいるんですよね。
被災地のことを忘れない、これも大切ですが、
私たちが背負ったこのパニックをどう静めていくのか、
その覚悟をますます強く求められている、そんな気がします。
たしかに「こと」が起きたのは去年の3月11日ですが、
それは始まりの始まりなんですよね。
なかなか上手く言えませんが、、、
by e-g-g (2012-04-02 17:30) 

しろのぽ

e-g-gさん

この手の記事は、コメントの動きが鈍いんですよ(笑)
みんな考えちゃうのかな・・・

もともと震災前からあった問題でも、震災を通じて明るみに出た部分、震災のために覆い隠されてしまった部分があるように思います。
今回の記事でいえば、過疎化や高齢化は、被災地に限ったことではないですしね。失業や貧困の問題だってそう。
だとすれば、震災前の状態に戻したって意味がないと思います。
ワタシもうまく言えませんが、それぞれが、「パニック」の中で浮き上がったものをしっかり見て、行動していかないと、と感じています。

by しろのぽ (2012-04-03 17:17) 

ふりょうたいちょう

はじめまして。
今週ボランティア仲間たちと初めて唐桑に行く者です。

毎月気仙沼には行っているのですが
唐桑の事はよくわからなかったもので
下調べをしていてこちらのブログを見つけました。
今回宿泊するYHのことも
唐桑で何度も活動したというボラ友おすすめ海岸亭のことなども詳しく書いて下さっていて感謝いたします。

とても共感しながら読ませていただきました。
ありがとうございました。



by ふりょうたいちょう (2012-09-18 22:22) 

しろのぽ

ふりょうたいちょうさん

ご来訪ありがとうございます。
毎月の気仙沼行き、たまに遊びに行く程度のワタシからみると、素晴らしいなと思います。
継続することがとても大切だと思うので・・・
唐桑YH、海岸亭のどちらも、地元の方と支援する人をつなぎながら、懸命に活躍していらっしゃいます。
ちなみにワタシは、現地では「ぷに」で通ります(笑)
唐桑は山にも海にも恵まれた、とても美しい土地。
支援の合間に、その景色をもお楽しみいただけたらと思います。
どうぞお気をつけて、行ってらっしゃいませ!
by しろのぽ (2012-09-20 01:44) 

ふりょうたいちょう

おお!コメントありがとうございます。
景色もサンマも楽しむ所存ですww

ぷにさん ですね。了解いたしました(^^♪

by ふりょうたいちょう (2012-09-20 22:50) 

しろのぽ

ふりょうたいちょうさん

お役に立てて何よりです。
サンマは旬ですが、ワタシは食べ損ねました・・・orz
戻りカツオも最高ですよ!
唐桑をよろしくお願いします。道中ご安全に!
by しろのぽ (2012-09-21 00:09) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。