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どこからきたのかきいてみる。5月の展覧会ふたつ [見たもの読んだもの日記]

ごぶさたしておりました。

チャリ光っちゃってるし.jpg

畑の話もたまってるんですが、5月に行った展覧会のおさらいなど。

って自転車で?と思った?
まずは近くにあった意外な穴場。

の前に、たまにはこんなおやつの時間です。
久しぶりのオーブンミトンカフェ。

ランチはかなりお高いの・・・.jpg


シュークリームもパウンドケーキも小さくて、これだけ?と思いそうなんですが、たいへんしっかりした甘さ。
セットにした紅茶は、しっかりした渋みのあるウバなんですが、ひとポット飲んでちょうどいいくらいです。
さくっとしたシュー、口どけよいパウンド、どちらも生地がとってもおいしい。


脳にエネルギー補給したあと、向かったのがこれ。

おしりぼうや・・・.jpg


リュカさんからチケットいただきました。
三都画家くらべ  ~5月6日 府中市美術館

日本の3つの都、京・大阪・江戸。
江戸時代の絵画作品を、それぞれの生まれた都市別にわけ、その風土ならではの表現や趣向に注目してみる、という試みです。


会場に並んだ作品からは、言われてみれば・・・というくらいに違いを感じるのが精いっぱい(笑)
風景画などは、たとえばこれを見て、ああこれは吉野だよね、だったら京都で描いた絵だよね、とわかったりするのですが。

書が読めたらねえ・・・.jpg


でも、歌川国芳は江戸だからこそ出現したのだろうとは思うし、逆に伊藤若冲は江戸では流行しなかっただろうと言われれば、なるほどと思うところもある。
それぞれの都市が、ユニークな才能を輩出し、それが受け入れられるくらいに文化的に成熟していたこと、そこにそれぞれの都市の個性が表れていることが感じられる展示でした。

ワタシは、絵画作品の描かれた背景にあまり注目しない傾向があるので(笑)新たな視点で作品を見ることができました。
これまで来たことのなかった府中市美術館だけど、常設展もこれからの特別展もなかなか楽しそう。
自転車でも来られるしね。

記事遅くなっちゃいましたけど、リュカさんありがとうございました!



さて、数日後にこんなところに行っていたりもするのです。

絵になりすぎ!.jpg


前回行ったのは2年前だったんだなあ。
根津美術館の庭園です。カキツバタがちょうど見ごろ。

根津美術館が所蔵する、日本絵画の最高傑作のひとつ、「燕子花図屏風」。例年この時期に公開されます。

画像がちっこい(笑).jpg


尾形光琳は、この燕子花図を描いた10年ほどあとに、ほぼ同じサイズ、同じ画題の「八橋図屏風」を描きました。
ふたつの作品が、およそ100年ぶりに一堂に並べられる「KORIN展」が、5月20日まで開催されていました。
ちなみにこの展覧会、去年の同時期に行われる予定でしたが、震災のために1年延期となって今年開催されたものです。


現在メトロポリタン美術館の所蔵するこの屏風が、先に描かれた燕子花図屏風と違うのは、画面を斜めに横切る八橋が追加されていること。

花の描写も変わってます.jpg


(部分なので、全体は美術館のサイトでどうぞ→こちら


「燕子花図屏風」があまりに素晴らしく完成されているので、なぜあの八橋が描かれたのか?というのは確かにかなり疑問に思うところです。
その答えは、会場には用意されてません。アメリカから里帰りしてきて、宿題を置いていかれたようなものです(笑)

ただ、のちに現れる酒井抱一は、「八橋図」によく似た(というかそのままな)作品を描いているし、もっと意匠的な構成の作品も描いています。
光琳が抱一の作品を見たら、「やられた」と思うんじゃないかな、とちょっと思ったりして。

こういうのは、すぐに答えを出さなくてもいいと思ってます。
ただ、疑問に思ったことは覚えておく。
色々なものに触れて考えているうちに、何となく「あれはこういうことだったのかな」と思う日がくる。
そんなペースで、20年以上(うわー)美術を見ています。


ちなみに、尾形光琳=1658~1716年、京都。酒井抱一=1761~1828年、江戸。(俵屋宗達は生没年不詳ですが主な作品は17世紀前半に描かれてます)
それぞれに師弟関係などはなく、時間も物理的距離も超えて継承されていったのが琳派の面白いところです。


それが大阪に行くと、府中市美術館でも見た、中村芳中(生年不詳~1819没)みたいな人がいたりする。

梅なんかもうすごいヘン.jpg


琳派によくみられる絵具の「たらしこみ」にしても、鹿のモチーフにしても、やりすぎでない?みたいな面白みがあります。
芳中の作品は、大阪だからこその表現なのかというと、よくわからん、なのですが(笑)


だいたい、海外の作品を見るときに、どの国・地域で生み出されたものかは注目するのに、日本美術は日本でひとくくり、というのも、当然ながら大雑把過ぎる話。
で、近代日本画にも、東京画壇と京都画壇の違いというのがあります。


今度は、今やっている展覧会の話です(笑)

福田平八郎と日本画モダン
5月26日~7月22日 山種美術館
http://www.yamatane-museum.jp/

福田平八郎は、京都で活躍した日本画家。
近代日本画で一番好きな画家は?と言われたら、迷うことなく答えられるくらい好きなんです。
ほかにも、徳岡神泉など、京都画壇には好きな作家が何人もいます。


今までよりもう少し、「どこから来たのか」に注目しつつ、作品を見ることになりそうです。

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コメント 12

luces

オーブン・ミトンには一度行ってみたいと思っているのですが
ちょっと遠いので躊躇しています。
KORIN展見たかった、残念です。
江戸と上方の違いはあまりピンときませんが、以前琳派展で酒井抱一の
絵を江戸人らしいと解説していたのは、なるほどと思いました。

by luces (2012-05-31 16:03) 

肥前のFe

琳派の絵より 根津美術館庭園のカキツバタに反応してしまった。
 自分の脳内 芸術的美より 生きてる自然美に反応する^^みたいです。
by 肥前のFe (2012-05-31 19:19) 

響

畑を極めてるかと思ってたけど
画伯登場ですね。
by (2012-05-31 21:08) 

T2

お~根津美術館だ~
見ました(外からだけ(笑) )
by T2 (2012-06-01 00:25) 

oko

燕子花の屏風、見事ですね・・・
素人でも迫力がわかります。

by oko (2012-06-01 08:30) 

miyomiyo

フグなんて高級魚に例えられて上機嫌の自分がやって来ちゃいましたよ。(違う?)
んで、今回ほど、ふちゅーに居なかったんを良かったと思ったことは無いと断言出来るです。
並みのうなされよーぢゃ~済まんかったんは間違い無いです。
っつーても、この燕子花の色を肉眼でマジマジと見たかったんは告っとくです。
にしても梅に鹿ですか~。
梅ぢゃ~なくて木瓜かと思ったんはどーしてでしょー。
ぷにしゃんの模写をぜしとも見てみたいと思ったんは拡散希望です。
そんで灯台もと暗し的なカフェのランチは、フラペにマフィンなんて比にならんくらい味も値段もリッチだったと読んでみたです。(長くナイ?)

by miyomiyo (2012-06-01 14:54) 

hoshizou

農業女子の続きが出ないので、収穫がどうなったか、気になってます。
by hoshizou (2012-06-03 00:01) 

しろのぽ

lucesさん

オーブンミトンに行くには、武蔵小金井まで遠いだけでなく、駅からがまた遠いですからね(^^;
KORIN展のうち、燕子花図屏風はまた来年も見られるでしょうけど、八橋図はいつになることやら。
江戸と京都の違いはわかるのですが、それに比べると大阪は際立った特徴がない感があります。
抱一、そして基一になると、明らかに江戸らしくなりますね。どこが・・・と言われると説明しがたいですが(笑)


肥前のFeさん

たぶん光琳も、どれほど描いても現実の自然の美しさにはかなわない・・・と思っていたのではないでしょうか。
作品を見ていると、あらゆる角度から花を観察していることがわかります。
庭園のカキツバタは、さすがに手入れがとてもいいです。


響さん

畑ネタもたまっております・・・
それと日々絵を描いてるまたは見てるのが、現在の日常です(笑)


T2さん

外からだけですか(笑)新しくなってから?
あの建築自体もそれなりに見どころかとは思います。


okoさん

シンプルなのに、誰が見ても迫力があるんですよね。
実物を見ると、まさに名品中の名品たるオーラを発しているようです。


miyomiyoさん

比喩のポイントがズレてます。高級魚ってとこぢゃなくてあくまでも毒です毒(爆)。
んで、今回ほど、おぢさんがふちゅーにいないのが残念だったことはないです。
ところでマジマジと見たかったカキツバタは庭園のでしょうか屏風のでしょーか。
確かにあの梅、意匠的に処理しすぎて、こんな花のつき方ってアリ?みたくなってるとワタシも思うのはナイショです。
あーオーブンミトン灯台もと暗しでしたか、このデザートセットがフラペ+マフィン+コーヒー(S)くらいのお値段です。タブン
スタバで、ここのランチと同じくらいの金額注文したら、甘いもの頭痛になるのはおぢさんでも必至と思われます。


hoshizouさん

絵に触れないのは相変わらずっすね(笑)
農業ネタはたまりすぎて処理に困っております。収獲も以下同文です・・・
by しろのぽ (2012-06-05 05:53) 

リュカ

KORIN展も行かれていたのですね~。
こっちは見逃しちゃいました。
「疑問に思ったことは覚えておく。」これ大事!でも難しい!!!(笑)
心がけておきたいな。
福田平八郎の作品はあまり見ていないので、興味あります。
by リュカ (2012-06-05 14:28) 

しろのぽ

リュカさん

KORIN展は、延期になったのが残念でずーっと待っていたんです。
予定通り1年延期でやってくれてうれしかったです。
10代や20代のころ見たり読んだりして、当時はわからなかったものが、今は何となく自分なりに解釈できるようになっていたりします。
あっこういうことかも、と自分の中で回路がつながるときは、結構うれしい(笑)

福田平八郎は、まとめて見る機会が意外なほど少ない画家です。おすすめですよー。
by しろのぽ (2012-06-06 18:03) 

e-g-g

>日本美術は日本でひとくくり
そのとおりですね。
明治以降、西洋美術に対置するように日本美術を置いてしまって、
日本の美術界も、いや日本の社会全体が、
西洋の対立概念として日本を見てしまうという、
きわめて稚拙な目を育んでしまったのでしょう。
と、具体的な検証一切なしの推論です。

でも、サッカーの日本代表はみんな知っているのに、
Jリーグのチームのことはあまり興味もなく知らない、
そんな構造に似ていなくもない。
ちょっと思い出しました、
歌舞伎も、江戸と上方では、
まるで違う演劇のような違いがあったり、
そうだ落語も・・・

脱線、ご容赦を。

by e-g-g (2012-07-01 20:27) 

しろのぽ

e-g-gさん

西洋文明から受けたショックがあまりに大きかったことから始まって、そのコンプレックスがいまだに続いているような感じはしますね。
そんなことを言いつつ、日本の文化をどれほど知っているかというと甚だ心もとなく・・・(笑)

脱線部分がとっても面白いです。
足元の文化を知ることから始めたら、他国の文化を見る目も違ってきそうです。
脱線大歓迎ですよ~!
by しろのぽ (2012-07-02 17:23) 

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