SSブログ

横顔の少女と取り巻く光。〈ベルリン国立美術館展〉 [見たもの読んだもの日記]

久しぶりに多摩地区脱出です。


なんか半ズボンが多いね.jpg


世間はお盆休みの8月13日。しかも月曜日。
あえてこんな日にお出かけしてみました。
電車すいてて幸先いい?ぞー。


これまた久しぶりの、国立西洋美術館です。

ベルリン国立美術館展
国立西洋美術館のページは→こちら

この文字の大小ってなんか意味ある?.jpg


なんといっても、今回の目玉は、初来日のフェルメール「真珠の首飾りの少女」。
・・・とか書くと、なんだかミーハーな根性で見に行ってるみたいですが(笑)

フェルメールって、ものすごく好き!というわけじゃないけど、2000年以降来日してる作品は全部見てる(はず)ので、来たらやはり見に行ってしまいます。
そして、見るとやっぱりフェルメールいいなあ、上手いなあと思う、というのがいつもの流れです。
(何様だよって感じですね)


普段は月曜休館なのですが、8月13日の月曜日は開館。
小さい文字で書いてあるから気付かない人も多いだろうし、お盆休みにわざわざ美術館に行く人も少ないんじゃない?と読んでみました。
結果、入場待ちの列もなく、展示室もほどほどの混み具合。正解だったかな?


フェルメールの作品が来日する場合、同時代・地域の、いわゆるデルフト派の作品が一緒に来ることが多いです。
嫌いではないけどちょっとお腹いっぱいだよなー、なんて思ったりしていました。
今回は、ベルリン美術館のコレクション展。

影がつながってる!.jpg


時代は15世紀から18世紀、宗教美術も彫刻も素描もあって、時代別・ジャンル別に分けられています。
展示室ごとに変化があって、見ごたえがあります。


絵はがきの入ってた袋、この絵見たことない?

Tシャツではないのだ.jpg


クラーナハ(父)マルティン・ルターの肖像(1533頃)
宗教改革の創始者として、歴史の教科書に載っている人ですよね。
(世界史は超苦手でしたが辛うじて覚えてた・・・)
クラーナハによる肖像画が複数あって、どれかを教科書で見ていたんだと思います。


さて、目玉のフェルメール。
少し並んで待ったら、最前列でしっかり見られましたよ。
(画像は公式サイトの→こちらで)
やはりお得意の、左上からの光線、ほぼ対角線に沿って構成される陰影の構図。
ちらちらと見えるハイライトが、画面の隅々まで視線を導きます。
ごく一例だけど、ちょっと描いてみた。
 

なんかやってみたくなるのよね.jpg


なんだこれは、と思ったのが、テーブルの脚のシルエットを浮かびあがらせる、謎の小さな白い色面。
これがあるとないとでは、画面の印象が全く違ってしまうのですが、普通の画家ならこんな形描かないと思うんです。
画面の右下に描かれたイスの鋲がまた効いていて、視線をぴたっと止めて奥へと跳ね返します。
あと、カーテンと服がほぼ同色なんですが、どちらかが違う色だったらと想像すると・・・ちゃんと意図があってやってるのがわかります。


やっぱりフェルメール上手いなあ、というといつもの感想なんですが、今回はちょっと違う。
なんといっても、この表情に惹かれちゃいました。

印刷のドットが・・・.jpg


実は赤いリボン?にピントが合っていて、顔は少しボケています。
この赤が画面中でとても効いていて、自然と眼は女性の顔へ。
原画を見ないとなかなかわからないのですが、とても柔和で、しかしどこか高揚したような表情。
口元がほんのり開いているのも、この女性の心の動きを表すようです。
もともと人物の表情を描くのが巧みなフェルメールですが、この控え目な表情がホントにいい、というか好み。

ちなみにこの作品も、実物はびっくりするほど小さいです。
(大作にすると、パースが不自然(不正確、ではない)なのが隠せないかも・・・)
間近でしっかり見られてよかった。


さて、このベルリン国立美術館展、10月からは九州国立博物館に巡回します!
あそこができてから、九州の展覧会事情はかなりよくなり、ワタシもうれしい限りです。
九州でもたぶん混雑必至ですが、見たら見ただけの充実感があると思いますよ。



もうひとつ来日しているこちら→マウリッツハイス美術館展は、あの青いターバンの少女が有名すぎて、ものすごい混雑の情報が・・・。(こちらも13日臨時開館だったのか!)http://www.asahi.com/mauritshuis2012/
混んだ展覧会はさんざん見てきたワタシでも、ちょっと腰が引けるくらいです(笑)どーしよー。



せっかく来た上野だから、もうひとつくらいは楽しんでいきます。
上野広小路から春日通りを歩いて、「みつばち」へ。

下向けると人がたくさん入っちゃう.jpg


有名な小倉アイスは、あんこの自然なお味でさっぱり。
ここであんみつを食べる時は、必ず小倉アイスの乗ってるのにしちゃうくらい好き。

指の血色がいいね.jpg


テイクアウトだともなかにはさんでくれるので、歩き食いしながら駅へ向かいます。だって溶けちゃうしー。


久しぶりの上野は、いつもの楽しみ方で。そんな夏の午後でした。
nice!(21)  コメント(19)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

nice! 21

コメント 19

luces

今日娘が「真珠の耳飾りの少女」を友達と見に行っています。
フェルメールの作品は2点しか無いよと言ってあるので、不満無く
楽しんで来ると思います。
ルターの肖像は有名ですね。今の教科書にも載っているのかしら。
by luces (2012-08-15 10:48) 

肥前のFe

青いターバンの少女・・・見てみたい 素晴らしい瞳 ですね
by 肥前のFe (2012-08-15 18:37) 

響

暑い時は涼しい中で
美術鑑賞がいいよね。
こまかく見てるのも流石画伯目線だと思いました。
アイスのモナカは金魚すくいの奴や。

by (2012-08-16 01:02) 

mei

夫がフェルメールが好きなので、行く予定でいます。
しろのぽさんの解説を思い出してじっくり見たいと思います。
そばによれればですが(笑)。
by mei (2012-08-16 11:13) 

北海 熊五郎

オランダ行った時に立ち寄ろうとしたけど、
時間が合わなくていけませんでした。

by 北海 熊五郎 (2012-08-16 17:25) 

しろのぽ

lucesさん

都美術館のほうですね。
フェルメールを見たければ、膨大なおまけにもお付き合いすることになります(笑)
でも、絵画の充実した地域・時代でもあるので楽しめると思います。
ルターの肖像は、現在30歳の友人も知ってました。お嬢さんはどうでしょう?


肥前のFeさん

日本にいたらめったにない機会ですもんね。
がんばって見に行きたいのですが・・・
フェルメールの、表情の捉え方は素晴らしいです。


響さん

たどり着く前に、暑くて蒸発しそうになりますが(笑)
ワタシはどうしてもこういう見方をしちゃうのですが、実は無心で楽しんでみたいのです。
ていうか、き、金魚すくいゆうなー(T▽T;)


meiさん

フェルメールってどこか日本人好みな感じもしますね。
お勤めの方でしたら、金曜の夜間開館が比較的すいているかと思います。
小さな絵なので、近くで見られたらいいですね。
ワタシはどうしても造形要素を見てしまいますが、風俗画としての一面や、時代背景を考えて見るとまた違う見方ができると思います。


北海 熊五郎さん

ワタシも、出張族時代、隙をぬって地元の美術館に行ってました。
でも時間が合わなかったことのほうが多いです・・・
現地なら、日本みたいな混雑に遭わなくていいんでしょうけどねー。
by しろのぽ (2012-08-17 00:53) 

oko

この展覧会の告知、テレビで何度か見ました〜
青いターバンの方は、私でも知ってます〜
by oko (2012-08-17 06:10) 

しろのぽ

okoさん

最近はTV局協賛の展覧会が増えてるみたいですね。
なのでCMもよく流れるのかな?見てませんが・・・
しかし、青いターバンのほうはなんであんなに有名になっちゃったんだ?(^^;
by しろのぽ (2012-08-17 19:39) 

miyomiyo

ル・コルビュジエですな。
んで、ぷにしゃんによる書き込みの解説はわかりやすくて目から鱗です。
見習わなくちゃ~です。(心にも無いこと言うな?)
にしても、陰影を付けずに描くスタイルと公言して憚らないぷにしゃんが、そこまでディープな観察をするとは意外感たっぷしです。
今後の展開を楽しみにして良いんでしょーか。
そんでその絵は関門海峡は渡っても津軽海峡は渡らないんでしょーな。ゼッタイ

by miyomiyo (2012-08-17 22:22) 

しろのぽ

miyomiyoさん

ですが世界遺産登録は無理筋ぢゃないかとひそかに思ってるです。(聞いてナイ?
タブレットのない今のワタシぢゃー、おぢさんの自在な描き文字にはとてもかなわんです。
そんで絵を見るのと描くのは別ぢゃないけど同じでもないので、自分の描けないタイプの絵を描いたら意外ですが、解説は特に意外でもないでしょー。
そんで、関門海峡より津軽海峡のほうが広くて険しいのは、昔も今もゆるぎないかと思われます。
by しろのぽ (2012-08-18 23:24) 

e-g-g

画像をモノクロに変換すると、
光の扱い方が良く分かるんですよね(反則技ですね)。
この時代(だけに限らないですが)、
実際に絵のような光だったかどうかではなく、
視覚に感じる光のリアリティ、その追求は見事ですね。
ふと、人工照明のない時代が羨ましく思えます。
そんな環境でちゃんと描けるかどうかは別として。

>ちょっと腰が引けるくらい
同感、
で、なかなか重い腰が上がらない、、、
それでも、一週間に一度はいつまでだったかなぁ、と。
by e-g-g (2012-08-20 20:47) 

しろのぽ

e-g-gさん

フェルメールの光は、すごく演出されていますよね。
わかりやすいように完全なモノクロにしようかと思いましたが、そうすると黄色の効果がわからなくなるのに気付きました。
手前のイスの鋲が画面の端にあるのも効果的なんですが、あのイス、全部描いてみるとすんごくでかい(笑)。
あらゆる意味で巧妙にできているんですね。
人工照明のある時代だったら、どんな光を演出したのかとも思います。

ワタシにとっても都内は遠いので、重い腰を上げるのが大変です(笑)

by しろのぽ (2012-08-22 01:25) 

T2

そうそう、九州国立博物館のおかげは大きい!
でも、やはり東京だなぁ
“東京で今何をやってる”チェックは手が回りませんが
しろのぽさんのおかげで、ずいぶん
情報が入ってますよ(^o^)/
by T2 (2012-08-22 09:26) 

しろのぽ

T2さん

確かに、それでも展覧会の数は桁が違うでしょうね。
美術を見たいと思っているうちは、どうしても東京を離れられないかなと思ってしまいます。
今回、フェルメールの九州初上陸では!?
現物を見てこそいいと思える画家だと思うので、機会があればぜひ見てみてください。
展覧会ネタは手間がかかるうえにアクセスが・・・(^^;なんですが、懲りずにまた書きますよー。
by しろのぽ (2012-08-23 01:44) 

obasan

今年の十月の上京の際は何の展示が行なわれているんだろう?
調べとかないとなあ・・・・・・
by obasan (2012-08-23 09:36) 

miyomiyo

ん(?_?)お達しにゃ~早かった?
また後で来てみるです (・_・)(._.)

by miyomiyo (2012-08-23 19:26) 

リュカ

フェルメールを見てきたのですね~^^
私は15日にツタンカーメン展を見てきたのですが・・・
思っていたよりは期待外れでしたw
きっとエジプト展はいろいろ見ていて、目が肥えたんだと思いたい!(笑)
by リュカ (2012-08-24 13:29) 

しろのぽ

obasanさん

今年は上野にいらっしゃるんですね!
10月の前半だと、上野近辺はちょうど谷間の時期かも・・・
あのピアノ、また聴きたいなあ。今年はどんな音色なのでしょうか。


miyomiyoさん

お達しぢゃなくてもコメしちゃいかんかー!?
おぢさんのこったからどっちにも網張ってると思うですケロ。


リュカさん

ワタシは、昨日青いターバンのほうを見に行って、げんなりしてきました・・・
いえ、作品は素晴らしいのですけど、人の多さと新しい展示室が。
ツタンカーメン展もすごく混んでるみたいですね。
期日限定チケット売ってもよかったのではと思います。
by しろのぽ (2012-08-25 15:13) 

職務履歴書

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。
by 職務履歴書 (2012-10-18 03:25) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。